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2011/07/12

勝手にふるえてろ  綿矢りさ



文藝春秋
2010年8月30日発行
162ページ


2004年、19歳で芥川賞を受賞した綿矢りささん。
芥川賞受賞者最年少ということで、同時受賞の金原ひとみさんとかなり話題になりました。

そのときの受賞作「インストール」はもちろん読みました。その後の「蹴りたい背中」も読みましたが、どうも私の中に響くものがなく、今回は最新作ということで期待しながらページを開きました。

響くものがないけれどなんか気になる。私には少しとっつきにくい文体だけれど、それが印象的だとも言えそうです。
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「勝手にふるえてろ」の主人公は26歳B型の大人しいOL女子、江藤良香。
中学時代に片思いをしていたクラスの人気者一宮君を、会わなくなってからもずっと心に思い続ける。
彼を「イチ」と呼ぶ。

そして、同じ会社の男性社員「ニ」に告白され、あまり気乗りしていないようでありながら付き合うことになるまでの話。

「イチ」と「ニ」と呼ぶのは、「1番」「2番」という彼女の中での格付けの数値ですね。
「ニ」の名前が「霧島」君であるということは、ようやく前向きに心を開いた最後の最後にようやくわかります。
ラストの後ろから5行目にようやく本名が出てきて、ちょっとほっとしました。

なぜなら、そこに到るまでの良香の態度と考えにどうも共感できなく、軽く苛立ちを覚えていたから。
ほとんど話をしたこともない「イチ」を、理想の男性として自分の中で勝手に作り上げ、「ニ」には全く興味がないのに好きになってくれたからという理由で何回かデートをし相手に気を持たせる。

さばさばしたタイプの良香だけれど、ふらふらとしていて自分というものをしっかり持っていない行動や考えが、好きにはなれませんでした。

イチと距離が離れていくことを受け入れ、それなら、というかんじでこちらを向いてくれるニにようやく目を向けるまでの時間があまりに短く、大雑把に感じました。

今時らしいと言えば今時らしい女子の姿なのでしょうか。

ヘビーではない、軽やかな恋愛物語をさらりと読みたい人向けの小説です。


綿矢りささんプロフィール

1984年2月1日京都生まれ。
高校在学中「インストール」で文藝賞を当時最年少の17歳で受賞しデビュー。
大学在学中の2004年、「蹴りたい背中」により19歳で芥川賞受賞(金原ひとみと同時受賞)、同賞の最年少受賞記録を大幅に更新し話題となる。
2006年に長編第3作『夢を与える』を発表。
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。

著書(一覧
  

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