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2011/08/25

ユナイテッドアローズ 心に響くサービス  丸木伊参



日本経済新聞出版社
2007年1月発行
216ページ



セレクトショップでの洋服購入が大好きです。
3つほどお気に入りのセレクトショップがありますが、その中のひとつがユナイテッドアローズです。
(本書の中ではUAと略されています。)

レディース、メンズのファッションを中心に、ライフスタイルも提案するユナイテッドアローズは生活雑貨にもこだわりのセレクトを見つけることができ、見ているだけでもワクワクしてしまいます。

そんなユナイテッドアローズという会社が、なぜ多くの人に愛されるのかが、この1冊を読むとわかります。
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まえがきに続く本文は、大きく6章から成り立っています。

1・これがUAのサービスだ
2・「店はお客様のためにある」の理念
3・この採用・研修がナンバーワン販売員を育てる
4・販売員を一生の仕事にしたい
5・良質な接客を維持するチェックシステム
6・スーパーSPA構想とUAの成長軌跡

著者の丸木さんが、UAの社員に徹底的に聞き取りをし、なぜこの会社を選んだのか、接客の悩みや喜びはどんなことか、など密度濃く紹介しています。


販売員の失敗談も多く語られています。その乗り越え方、そこから得た教訓、つながる喜びと、彼らの体験が現実的なものとして身近に感じることができます。

まずUAが販売員を募集するときに重視することは、「販売を次の役職へのステップアップと考えず、一生の仕事にしたいと考えている人材を選ぶ」ということ。

理想の販売員像として紹介されていたのは、私も大好きなオードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」のひとコマに登場する年配の男性。

ニューヨークで、2人の男女が憧れのティファニーを訪れます。キャンディーのおまけとして付いてきたおもちゃの指輪を販売員に見せ、「これにイニシャルを刻んでもらえないかしら」と異例の注文をした女性。もちろん常識で考えれば断るに決まっていますよね。ティファニーで購入した商品ではないのですから。

だけど、販売員の男性は2人の仲良さそうな姿を見、「異例ではあるけれどお引受けしましょう」と紳士な態度で答えるのです。もちろんオードリー演じる女性は感激します。「これがティファニーなのよ!」と。

マニュアルがどうのより、お客様に感動を与えたいというUAの理念をまさに示したワンシーンです。「ティファニーで朝食を」は何度も観ていますが、このシーンは私も大好きで心温まります。


UAが販売員に渡すマニュアルには以下のようなスピリッツ10個が書かれています。

「真心と感謝」のスピリッツ10

・おもてなしの心をもて
・感動を呼べ、感動を売れ
・お客様の喜びは私たちの喜び
・お客様を愛し、商品を愛せ
・礼儀正しく、マナー良くあれ
・親切丁寧、腰低くあれ
・自然で明るく、フレンドリーな笑顔をもて
・OPEN MIND(まず一旦すべてを受け入れよ)
・NO EXCUSE(言い訳するな)
・THANK YOU FOR BEING THERE(今に感謝せよ)

このうちUAの販売員たちに、最もスピリッツとしたいと選ばれたのは、「OPEN MIND」でした。簡単なことではありません。大きな心を持たなくてはならないわけで、自己コントロールできる能力も要されます。

この10項目を身に付けられたら、誰から見ても温厚で大らかで品がある人間でしょう。UAの理想とする販売のプロの姿は、人間としても完成された姿だなと感じました。

営業や接客業で悩んでいる人には参考になるところが多いでしょう。ビジネス書なのですが、人間としてこうありたいなという哲学も学ぶことができます。


ユナイテッドアローズ


丸木伊参さんプロフィール
1938年横浜生まれ。日本大学芸術学部卒。
ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)販売計画部、アパレル専門紙の流通担当記者を経て70年に商業・流通業の専門出版社(株)商業界入社。
編集長、雑誌編集部門・書籍出版部門担当常務を経て代表取締役社長。
02年にOFFICE MARUKIを設立し、執筆、講演活動に携わる。

★丸木さん著書一覧
 
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