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2011/09/17

空中庭園  角田光代


空中庭園  角田光代



文芸春秋
平成14年11月発行
298ページ


「ラブリー・ホーム」「チョロQ」「空中庭園」「キルト」「鍵つきドア」は別冊文藝春秋に掲載されたもので、最後の「光の、闇の」は書下ろし。
ですが、6話すべてがひとつの家族の物語になっています。

1話ずつ語り手が変わることで、一見まとまりのあるごく平凡な一家族が実は奥底ではバラバラだとわかってしまう物語。

共に生活をし共に人生を歩んでいるように見えながら、しかも家族という一番近しいはずの人間関係でありながら、人は皆違う考えを持ち違う感情を持っているということを、まざまざと突きつけられます。

なんでもない平凡な日常生活を描いているのですが、心理状況をじっくり書き表していて、一種サスペンスのよう。

お父さん、お母さん、長女、長男。お母さんの母、おばあさん。長男の家庭教師の女性。この女性が実はお父さんの不倫相手。
この登場人物たちの心が赤裸々に語られます。

格言めいたことは一切書かれていなく、その人物たちが心で思っていることをそのまま言葉にした文章で、本人の気持ちになりやすかったです。

どんなに近い人間でも、ひとりひとり違うのだとあらためて実感できる1冊です。


角田光代さんプロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞、1996年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、ほか著書多数。


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